知らない人からすればカップ麺や袋麺と何ら変わらない食べ物なのかもしれませんが、お客さんの好みは千差万別。そして、そのニーズに答えるラーメンもまた数えきれないくらい沢山あります。
今回は需要と供給に対する管理人なりの考えを、ラーメンを通して考えたいと思います。
管理人はよく、いろんなやり取りをラーメンに例えて話します。
「あの人の求めてることはこってり豚骨だ」
「あの人が作ったものはあっさり塩だ」
「具だくさんの全部乗せだ」
こんな具合です。
シンプルだからこそ際立つものがあれば、豊かだからこそ満足感が得られるものもあります。
逆に、物足りなさを感じたり、消化不良を起こしてゲンナリしてしまう事もありますよね。
よくたとえ話に出すラーメン
- しょうゆ:正統派で良い香り。濃すぎず薄すぎず中性的。
- 豚骨:甘み旨味があり、脂多め。ただしボリューム感と味のしつこさによりあっさり豚骨、こってり豚骨を使い分ける事もある。
- 塩:あっさりしており、素材が際立つ。ボリュームはそんなにない。上品でオシャレなイメージだが、バランスを誤ると一気に美味しくなくなる危うさも。
- 味噌:豊かな味で、こってりに感じるが実はそこまで胃にドカンと来ない結構ありがたい存在。
- 全部乗せ:あれもしたいこれもしたい。と限られた器の上にドカドカと乗っている状態。カバー範囲がとても広く、ボリューム感、多様性に富んでいる反面、向こう見ずで考えが浅く品性に乏しい状態を揶揄して使うことが多い。作業工数の多さを表現する時によく使う
- 牛丼:方向性が全く違っており軌道修正がきかない状態。もはや麺類ですらない。けっこう笑いを誘う。使用例:「あれはラーメンというより牛丼」
- パスタ:惜しい
こんな具合です。
さらに、お客さんがどこまで注文を出すのかも大事なポイント
今回、本当にお話したかったのは「お客さんがどこまで注文を出すのか」です。
代表的な注文として、ラーメン屋さんによく行く人は分かると思うのですが麺の湯で具合(硬さ)を選べますよね。
- 固め
- ふつう
- 柔らかい
これを選べるって、親切なサービスだと思います。
柔らかいと食べやすいだろうし、スープの味がよく染みこんでます。固いと歯ごたえがあって、食べ始めと食べ終わりで固さも変わるので美味しさの変化も楽しめます。
太さも重要なポイントです。
- 細麺
- ふつう
- 太麺
細いと表面積の原理でスープが沢山絡むし、太いとしっかりコシがあって濃いスープとの相性も抜群です。つけ麺ではよく太い麺が使われてますよね。
で、今の説明だと同じように見えて麺の固さ(3種類)と太さ(3種類)だけでも9種類のラーメンがあることになります。
実際はもっと固さ太さには種類があるし、ストレート麺か縮れ麺か。どんな小麦が使われているか、製麺工程や使われている水の成分はどうか。
背脂の多さとか、トッピングとか、サイドメニューとか考えると、ちょっと想像もつかないくらい膨大な組み合わせがあります。
しかも、同じ素材を使ってるように見えてもラーメンのスープは沢山の素材を複合して作り上げたモノですので、仕入先が変わったり無くなったりすることもあるでしょうし、こちらの組み合わせもまた無限大といっても過言ではないでしょう。
でも、本当に聞くべきか?
と、ここまで宇宙の星を数えるかのように途方もないラーメンの可能性を語っておいてアレなんですが、管理人は
「でも、本当に麺の固さだの太さだの背脂の多さだの聞くべきか?」
と思ってしまう人なのです。
まあ当然選択肢があるほうがいい訳ですよね。そのほうが「自分が選んだ」気持ちになりますし、そうしたほうが美味しく感じるかもしれません。
でも、もしかしたら店主はお客さんの「固めで!」という注文を聞きながら
「このスープだと、麺は柔らかいほうが美味しいのにな・・・でもお客さんが言ったことだから仕方ないか」
と思ってるかもしれない。「柔らかいほうが美味しいですよ」とか言い出したら波風が立つから黙ってるのかもしれない。
めったに無いことなのかもしれませんが、そう思ってしまうのです。
ほとんど勝手な想像なのですが、こういう事を考えてしまう理由は、多分自分も何かの創り手だからだと思います。
そして、当たりまえのようにお客さんに細かい注文をヒアリングしてその通りに作る姿勢は、一見するととても親切だと思います。いや、実際親切でしょう。
麺の硬さや太さを選べるのは当たり前と思ってるお客さんもそれなりに居ると思います。当たり前に変わっていく、ということはそれだけ素晴らしい事なのだろうと思います。
ラーメンに限らず、世の中はいろんなモノやサービスが売買されてます。
そして、どんなお仕事でもヒアリングはとっても大切な事です。
でも、機会的にアレコレとヒアリングして出来上がったラーメンは本当に感動できるレベルに仕上がった美味しいベストな一杯なのだろうか?と時々思うことがあります。
管理人としては麺の固さとかを聞かれないほうが安心して食べることができるのです。
分かる人にだけ伝わって欲しいこと
「何言ってるの?」とか「言ってることはわかるけどでも」と思われるのを重々承知で書くのですが、
もっと自信を持って良いのではないでしょうか。
ひと昔前、ラーメン屋は雑談も喫煙も許されず無言で黙々と食べなきゃ怒られる時代がありました。今でもそんな店がありますが、たいていは非難されてますよね。
ただ、そのお店の店主は自分の味に誇りや曲げられない信条を持っていたはずです。
もちろん、どんな市場でも接客が親切なほうが生き残るとは思います。そして接客というものを否定するつもりで今回の記事を書いたわけでもありません。
聞くのが悪い訳ではなく、今のサービスをお客さんが満足するようなものに近づけようとするのは、やり方は違えどどんな商売人でも同じだと思います。
ただ、最近ふと
実は「最初から教えてください」という姿勢ではなく。アレコレ聞かなくても創り手が納得出来る一杯を出してくれたら、それで良いんじゃないかな。
と思いました。
追記
そんな事よりもラーメン食べたい。